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マルティスープ
Staff Blog

Introduction example

2026.04.20

Google Maps PlatformのElevation APIについて調べてみました

Michael Daly, CC BY 3.0 , via Wikimedia Commons

(画像出典: Michael Daly, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons)

 

こんにちは!今回はGoogle Maps Platformで標高を調べるAPIであるElevation APIについて調べてみました。
なお、以下は2026年4月16日時点の調査結果です。

この記事のポイント

この記事のポイントは以下の通りです。

 

1. Elevation APIを使うことで地球上の陸地の任意の地点の標高を調べることができる

2. Elevation APIで得られる標高の精度は場所によって異なる

 2-1. 山頂付近では誤差が数10mに及ぶ

 2-2. 平坦な場所でも最大数m程度の誤差がある

3. 調査地が日本国内の場合、国土地理院の標高データを使用することで精度の高いデータを利用できる

1. はじめに

位置情報には2次元と3次元の情報があります。道路や鉄道の移動ルートを調べるときは2次元の地図を使いますが、3次元の地図が必要な時もあります。 例えば、山の高さを調べたり、道路の勾配を調べたり、ヘリコプター、飛行機、ドローンの飛行可能空域を調べる時には高さの情報(標高)が必要になります。 このように標高データは様々な分野で利用されています。

 

標高を調べるには、レベル(水準儀)やGNSSを利用した水準測量、またはトータルステーションを利用した三角高低測量があります。
これにより精度の高い標高データが得られますが、時間とコストがかかるため、知りたい場所の標高を今すぐ知るといった用途には不向きです。
こうした時、既にある標高データを利用できると便利です。

 

Google Maps Platformには、ある地点の標高を調べるAPIサービス:Elevation APIがあります。
これは全世界の任意の場所についての標高を調べることのできる便利なサービスです。
なお、Elevation APIでは、陸地だけでなく、海域の水深も調べることができますが、ここでは陸地の標高について説明します。

 

以下では、まず測量の分野で言われる標高について確認し、次に、Elevation APIの使い方を説明します。
その後、Elevation APIで得られる標高データの品質について確認します。

2. 標高について

測量の分野で言われる標高は、平均海面からの高さを表します[1]。
日本の測量法では位置の高さ(標高)について、以下のように定めています[2]。

 

第十一条 基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。
一 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。
二 距離及び面積は、第三項に規定する回転楕だ円体の表面上の値で表示する。
三 測量の原点は、日本経緯度原点及び日本水準原点とする。ただし、離島の測量その他特別の事情がある場合において、国土地理院の長の承認を得たときは、この限りでない。
四 前号の日本経緯度原点及び日本水準原点の地点及び原点数値は、政令で定める。

 

十一条一にある、平均海面として、東京湾の平均海面が用いられています。
ただ、この平均海面を毎回調べなくて済むようにするために、地上に標高の基準点が設置されており、これが日本水準原点です。

 

なお、地殻変動によって地表の移動(水平、垂直方向とも)が起こるため、国土地理院では随時、水準原点の見直しを行っています。
2011年10月には24.3900mに改定されました。

 

土地の正確な標高を調べる際、水準点を基準とした水準測量が行われますが、水準点は、この日本水準原点を元に、主要な国道に沿って約2kmごとに設置され、その標高が記録されています。

 

GNSS測位において標高は、地球を模した楕円体面からの高さ(楕円体高)から、楕円体面からジオイド面(仮想的な平均海面)までの高さ(ジオイド高)を差し引いた値になります[3]。
つまり、

 

標高 = 楕円体高 - ジオイド高

 

となります。

 

なお、厳密には、計測地点からジオイドに下した垂線と、同じく計測地点から楕円体に下した垂線が平行ではないため、左辺と右辺はイコール(=)の関係ではなく、ニアリーイコール(≒)の関係にあるそうです[1]。

 

5.3節でElevation APIで得られる標高の精度について検討しますが、その際、このジオイド(高)という言葉が出てきますので、頭の片隅に置いておいてください。

3. Elevation APIの使い方

Google のドキュメントにElevation APIの使い方が記されています。
ここでは3つの使い方をご説明します。

 

1. 1つの地点の標高を調べる
2. 2つ以上の地点の標高を調べる
3. 経路上の地点の標高を調べる

 

3.1 1つの地点の標高を調べる

1つの地点の標高を調べるには、Elevation APIのエンドポイントURLに対して、locations パラメータを指定してリクエストを送信します。

 

  https://maps.googleapis.com/maps/api/elevation/json
  ?locations={緯度},{経度}
  &key={Elevation APIのキー}

ここで、それぞれのパラメータは以下の通りです。
・locations パラメータ: 調べたい場所の緯度と経度とカンマでつないだ値を入れます。
・key パラメータ: Elevation APIを利用するためのキーです。
・APIキー: Google Maps PlatformのAPIを利用する際に必要なキーです。キーの入手方法はこちらをご覧ください。

 

例えば、国土地理院が富士山頂に設置した三角点の位置の標高を求めるには、

https://maps.googleapis.com/maps/api/elevation/json?locations=35.360628,138.727365&key={APIキー}

というリクエストを送ります。

富士山剣ヶ峰二等三角点

リクエストが成功すると、以下のレスポンスが返ってきます。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 3729.968017578125,
         "location" : 
         {
            "lat" : 35.360628,
            "lng" : 138.727365
         },
         "resolution" : 152.7032318115234
      }
   ],
   "status" : "OK"
}

この中にあるelevation が指定した地点の標高(単位はメートル)を表します。
resolution はElevation APIが標高データの補間に使用したデータポイント間の最大距離(単位:メートル)を表す値です。
resolution の値が大きくなるほど、標高データの精度は低下します。
この理由については5.3節で説明します。

 

Elevation API (Google Earth / Google Maps)では複数のデータソースを利用して、世界全域を対象とした標高の推定を行っていると言われています[4,5]。
その推定方法は公開されていませんが、APIドキュメントには、ユーザが指定した場所に近い4つの地点の高度データを使用して標高の推定(補間)を行うと書かれています[6]。
この標高の推定が場所によって粗かったり密であったりすることから、場所によって標高の精度に違いが発生します。
この精度の違いについては、5節で述べます。

3.2 2つ以上の地点の標高を調べる

複数の地点の標高を調べるには、locations パラメータに調べたい地点の経緯度をパイプ文字(‘|’)で区切って指定します。

locations={地点1の緯度,経度}|{地点2の緯度,経度}

以下は3つの地点を指定したリクエストの例です。

https://maps.googleapis.com/maps/api/elevation/json?
locations=35.22687155065544,138.61014282899325|35.33659356946854,138.73411749953405|35.360625,138.727364
&key={APIキー}

このリクエストが成功すると、それぞれの地点の標高を含む以下のレスポンスが得られます。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 118.7328643798828,
         "location" : 
         {
            "lat" : 35.22687155065544,
            "lng" : 138.6101428289932
         },
         "resolution" : 9.543951988220215
      },
      {
         "elevation" : 2380.569580078125,
         "location" : 
         {
            "lat" : 35.33659356946854,
            "lng" : 138.7341174995341
         },
         "resolution" : 152.7032318115234
      },
// ...
   ],
   "status" : "OK"
}

3.3 経路上の地点の標高を調べる

ここまでは1つ以上の地点を指定して標高を調べましたが、locationsパラメータとは別のpathパラメータに経路を指定して、経路上にある地点の標高を調べることもできます。
経路の指定方法は、pathパラメータに複数の地点の経緯度をパイプ文字でつなげた文字列か、Google Maps用のエンコードされたポリラインの文字列のいずれかを使用します。

 

下は2つの地点で経路を指定した例です。
鎌倉の若宮大路の2地点を指定しています。

path=35.31970523934488,139.55250217280096|35.323628114386075,139.5549176012163

以下はエンコードされたポリラインで経路を指定した例です。
エンコードされたポリライン文字列の前にenc:を付けます。

path=enc:ikqvEgjwrYkW}M
若宮大路(鎌倉市)

図1 若宮大路(神奈川県鎌倉市)(画像 ©2026 Google、画像 ©2026 Airbus、Maxar Technologies、地図データ ©2026)

 

pathパラメータで経路を指定するときは、samplesパラメータで標高を調べる地点の数を指定します。
samples パラメータは経路の等間隔に分割した時の調査地点の数を指定します。
以下のリクエストでは、若宮大路の二の鳥居から三の鳥居までの区間で5地点の標高を調べています。

https://maps.googleapis.com/maps/api/elevation/json?path=enc:ikqvEgjwrYkW}M
&samples=5
&key={APIキー}

以下のようなレスポンスが得られます。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 7.563193321228027,
         "location" : 
         {
            "lat" : 35.31973,
            "lng" : 139.55252
         },
         "resolution" : 152.7032318115234
      },
      {
         "elevation" : 8.260611534118652,
         "location" : 
         {
            "lat" : 35.32070500440896,
            "lng" : 139.5531174783858
         },
         "resolution" : 152.7032318115234
      },
      {
         "elevation" : 9.286953926086426,
         "location" : 
         {
            "lat" : 35.32168000587873,
            "lng" : 139.5537149711805
         },
         "resolution" : 152.7032318115234
      },
      {
         "elevation" : 9.865608215332031,
         "location" : 
         {
            "lat" : 35.32265500440913,
            "lng" : 139.554312478385
         },
         "resolution" : 152.7032318115234
      },
      {
         "elevation" : 11.62675666809082,
         "location" : 
         {
            "lat" : 35.32363,
            "lng" : 139.55491
         },
         "resolution" : 152.7032318115234
      }
   ],
   "status" : "OK"
}

二の鳥居から三の鳥居に向かって、標高が7.6m~11.6mと少しずつ上がっていく様子が分かります。

若宮大路の標高

図2 若宮大路、二の鳥居から三の鳥居までの標高

ちなみに、国土地理院の地図で同じ区間の標高を調べてみると、5.7m~9.4mでした。
この違いについては5.3節で述べます。

4. 標高データの利用例

標高データの利用例として、道路の標高と、津波被害に備えた標高の確認について述べます。

4.1 ベーカー坂(アメリカ、カリフォルニア州)の標高

アメリカのカリフォルニア州に、自動車の試験で使用されるベーカー坂(Baker grade)という道路があります。
この坂道は19マイル(約30km)にわたって3~4% の勾配が続き、その標高差は1,000m を超えます。

 

この付近はモハべ砂漠の中にあり、高温で乾燥した気候です。
Bakerの町の北西にあるデスバレーでは、1913年に米国最高気温となる57℃(134°F)が記録された場所で、このベーカー坂は自動車メーカにとって製品開発の最後のテスト(ホットテスト)の場になっているそうです[7]。

(なお、この記録については議論があるようです。)

 

pasted-2026.04.14-13.08.21

図3 ベーカー坂(カリフォルニア州)(地図データ ©2026 Google)

 

フリーウェイI-15に沿ってBakerからMountain Passまでの標高を調べてみます。
samples は100地点としました。

 

リクエストは以下のものになります。

https://maps.googleapis.com/maps/api/elevation/json?
path=enc:ikfvEvnmcUkoAo~BwEaHcJoJgPuK{FyEoF}F{GwK}J{Qaw@sxAuh@y`AwUic@sZkj@wV{d@i[_l@yj@{dA_pAo_CgWye@im@khAwk@yeAok@afAgHoOkCuG_FoOoJ_c@udAcbFqeA}dFgFi\mR}wAkOy}@_P{~@{Hg[qPup@}zK}pc@cFo_@wAm`@kAwg@^oT`Lsq@|AgLzAwQvFwy@hEkV
&samples=100
&key={APIキー}

得られた標高をプロットすると、以下のようになります。

pasted-2026.04.14-13.10.22

図4 ベーカー坂の標高(BakerからMountain Passまでの100地点をサンプリング)

 

Elevation APIで得られた結果では、スタート地点の標高が284m、そこから一気に1,253mまで登り、そこから少し下り坂になって再び1,444m まで登ります。
現代の自動車にとってもなかなかハードな上り坂ではないでしょうか?

 

ホットテストが行われる場所は、Bakerの町(標高284m)から、坂を上り切ったHalloran Summit Road(標高1,253m)までではないかと思います。

pasted-2026.04.15-13.59.06

図5 ベーカー坂(上り方向)(撮影日: 2025年9月, ©2026 Google)

 

pasted-2026.04.15-14.06.00

図6 ベーカー坂(下り方向)(撮影日: 2025年9月, ©2026 Google)

 

上はストリートマップの写真ですが、荒涼とした土地に太陽が照り付けていて、暑そうな場所ですね。

4.2 津波被害に備えた標高の確認

標高データの利用例として、津波の被害が想定される地点について、標高を調べてみました。
なお、ここでは正解値として国土地理院の標高も記載します。
これは、国土地理院の提供する標高データが測量法に基づく高精度なデータであるためです。
標高データは、サーバサイドで経緯度から標高を求めるプログラムを使用しました。

4.2.1 調査地点

北海道から沖縄まで、国内の12地点をピックアップしました。

No 地点名 緯度 経度 海岸までの距離
1 北海道釧路赤十字病院 43.001671 144.381126 1.8km
2 青森県立中央病院 40.829900 140.794560 0.6km
3 岩手県釜石市民ホール 39.27282226782178 141.8798092328509 0.6km
4 宮城県石巻駅 38.435193 141.303953 2.3km
5 新潟県新潟万代病院 37.914849 139.052672 3.5km
6 神奈川県鎌倉材木座郵便局 35.307761 139.551502 0.3km
7 静岡県イオンタウン浜松新橋店 34.678700521388706 137.71114045601368 1.5km
8 三重県尾鷲市民文化会館 34.069420 136.201326 0.3 km
9 和歌山県串本駅 33.475441 135.781617 0.2km
10 高知県須崎駅 33.392546 133.293186 0.2km
11 宮崎県イオンモール宮崎店 31.922863 131.456098 0.8km
12 沖縄県那覇空港 26.200130 127.646650 0.7km ※空港ターミナルから海岸までの距離

 

pasted-2026.03.19-18.56.28

図7 調査地点

 

4.2.2 標高データ比較一覧

Elevation APIを使ってそれぞれの地点の標高を求めました。
標高の数値のリンクは国土地理院の地図の該当地点へのリンクです。

No 地点名 標高(Elevation API)(m) 標高(国土地理院)(m) Elevation APIと国土地理院の差(m)
1 北海道釧路赤十字病院 3.4737 3.2 0.274
2 青森県立中央病院 11.4157 4.9 6.516
3 岩手県釜石市民ホール 4.1361 1.6 2.536
4 宮城県石巻駅 1.4790 1.4 0.079
5 新潟県新潟万代病院 3.4206 1.1 2.321
6 神奈川県鎌倉材木座郵便局 7.2233 3.7 3.523
7 静岡県イオンタウン浜松新橋店 2.4168 2.6 -0.183
8 三重県尾鷲市民文化会館 7.2517 6.2 1.052
9 和歌山県串本駅 11.5608 4.9 6.661
10 高知県須崎駅 4.5031 3.4 1.103
11 宮崎県イオンモール宮崎店 2.5433 2.9 -0.357
12 沖縄県那覇空港 3.1618 2.2 0.962

 

この結果をグラフにしてみました。

pasted-2026.03.19-19.02.19

図8 Elevation APIと国土地理院の標高の差

 

国土地理院の標高とElevation APIの標高を見比べると、地点によって大きく異なることが分かりました。
特に差の大きかった地点は和歌山県串本駅、青森県立中央病院でした。
これらの地点では6m以上の差があります。
津波の浸水範囲を検討するような場面では、この差は致命的になります。
同様に、鎌倉材木座郵便局、釜石市民ホール、新潟万代病院も2m以上の違いがあります。

 

日本国内の場合、国土地理院の提供する標高が信頼性の高いデータになります。
標高データの利用目的によって、要求される品質(精度)は異なりますが、上の結果から、現時点ではElevation APIの標高は実際の標高と異なる可能性が高いことを踏まえた方が良さそうです。

 

なお、津波や洪水などの被害想定については、国土交通省が公開しているハザードマップポータルサイトを利用すると、手軽に確認することができます。

5. Elevation APIで得られる標高データの品質検証

Elevation APIにより世界中のどの地点の標高も手軽に把握できることが分かりました。
では、この得られた標高データがどれだけ正確かを検証してみます。
調査地として、山頂と平坦地で検証してみます。

5.1 山頂での評価

標高が気になる場所として、山頂があります。
世界の多くの山頂について測量が行われており、山の高さが明らかにされています。
ここでは、日本と世界のいくつかの山頂について、Elevation APIの標高と、予め計測された標高との差を検証してみます。

5.1.1 富士山頂 剣ヶ峰二等三角点

事前に標高が分かっている地点として、富士山剣ヶ峰の二等三角点の標高を調べてみます。
国土地理院の三角点は標高が記録されており、基準点成果表として公開されています。
基準点成果表は基準点成果等閲覧サービスで確認することができます。

 

この二等三角点(基準点コードTR25338053803)の標高は3775.56m(2025年2月7日改算)であるのに対し、Elevation APIでは3729.96m でした。
両者の差は45.60m ありました。

5.1.2 剱岳 三等三角点

剱岳には山頂に三等三角点が設置されており、この高さは2997.00m(2024年12月13日標高改定、国土地理院基準点成果等閲覧サービスより)です。
Elevation APIでは2950.48m、差は46.52m あります。

 

剱岳は、明治40年(1907年)7月、当時の陸軍参謀本部陸地測量部の柴崎芳太郎測量官らによって初めて登頂に成功し、測量が行われました。
ただ、この時は正式な三角点の設置は行われず、その後、100年が経過した2007年に正式な三角点が設置されたそうです[8]。

5.1.3 マッキンリー(デナリ)

北米大陸の最高峰であるマッキンリー山(デナリ)は海抜6,194m(20,310 feet)あります。
これについてElevation APIで調べてみると、6,164mの結果でした。 30mの違いがあります。

 

以下はElevation APIの結果です。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 6164.1826171875,
         "location" : 
         {
            "lat" : 63.069,
            "lng" : -151.0063
         },
         "resolution" : 19.08790397644043
      }
   ],
   "status" : "OK"
}

5.1.4 モンブラン

ヨーロッパ最高峰のモンブラン(4,805.59m)では、Elevation APIの結果は4781.38mでした。
24.21mの差があります。

 

なお、モンブランの標高は雪氷の状態によって毎年変動するそうですが、一旦は4805.59m の数字を正解とします。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 4781.37548828125,
         "location" : 
         {
            "lat" : 45.832778,
            "lng" : 6.865
         },
         "resolution" : 152.7032318115234
      }
   ],
   "status" : "OK"
}

5.1.5 マッターホルン

スイスのマッターホルン(4,478m)では、Elevation APIの結果は4,440m でした。
38m の差があります。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 4440.2900390625,
         "location" : 
         {
            "lat" : 45.97641,
            "lng" : 7.65862
         },
         "resolution" : 19.08790397644043
      }
   ],
   "status" : "OK"
}

ちなみにマッターホルンは地震エネルギーの影響で2秒に1回揺れているそうです。
揺れるといっても振幅はナノ~マイクロメートル(10-9 ~ 10-6 m)なので、人間には感知できませんが、面白いですね。

5.1.6 山頂の標高のまとめ

山頂の標高をまとめると以下の通りです。

検証地点 緯度 経度 正解となる標高 (m) Elevation APIによる標高 (m) 両者の差 (m) 備考
富士山(剣ヶ峰二等三角点) 35.360628 138.727365 3775.56 ※ 3729.96 45.60 国土地理院基準点成果より
剱岳(三等三角点) 36.62334933 137.61713952 2997.00 ※ 2950.48 46.52 国土地理院基準点成果より
マッキンリー(デナリ)(アメリカ) 63.069000 -151.006306 6,194 (20,310 feet) 6,164 30 米国地質調査所のアナウンスより
モンブラン(スイス) 45.832778 6.865000 4,805.59 4781.38 24.21 Wikipediaより
マッターホルン(スイス、イタリア国境) 45.97641 7.65862 4478 4440 38 Wikipediaより

 

山の高さは多くの人の興味、関心を集めるので、正確な値が出るものと期待しましたが、予想に反して数10mと大きな差があることが分かりました。

5.2 平坦地での評価

平坦な場所では誤差が少ないのではないかと予想し、調べてみました。

5.2.1 ラパス(ボリビア)

ボリビアのラパス(La Paz)は世界で最も標高の高い都市の一つです。
そのラパスに近い国際空港で標高を調べてみます。

La Paz, Bolivia (ASTER)

図9 ラパス(ボリビア)(NASA/METI/AIST/Japan Space Systems, and U.S./Japan ASTER Science Team, Public domain, via Wikimedia Commons)

 

ここでは、米国地質調査所(USGS)のViewerの標高データを正解値として見ます。
この結果、正解値は4,039m とします。

 

Elevation APIの結果は4039.41mでした。ほぼ同じ値です。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 4039.407470703125,
         "location" : 
         {
            "lat" : -16.51038,
            "lng" : -68.18823
         },
         "resolution" : 9.543951988220215
      }
   ],
   "status" : "OK"
}

5.2.2 ボンネビル・ソルトフラッツ(ユタ州)

アメリカ、ユタ州のボンネビル・ソルトフラッツは世界で最も平らな場所の一つとして有名です。
この場所は数kmにわたって標高差がほとんどないため、Elevation APIの水平方向のズレによる影響をほぼ排除して検証できます。

 

ボンネビル・ソルトフラッツのパノラマ風景
図10 ボンネビル・ソルトフラッツ(Famartin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

 

USGS viewerの標高は1285.3m、Elevation APIの結果は1285.5mでした。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 1285.521728515625,
         "location" : 
         {
            "lat" : 40.7997,
            "lng" : -113.8
         },
         "resolution" : 9.543951988220215
      }
   ],
   "status" : "OK"
}

5.2.3 エバーグレーズ国立公園(フロリダ州)

フロリダ州にあるエバーグレーズ国立公園は、全米で最も平坦な州であるフロリダの中でも、特に起伏が少ない湿地帯です。

Swap grass on the Pa-Hay-Oke trail in Everglades National Park

図11 エバーグレーズ国立公園(フロリダ州)(Daniel Kraft, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons)

 

USGS viewerの標高は0.4m、Elevation APIの結果は2.1mでした。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 2.10537052154541,
         "location" : 
         {
            "lat" : 25.4799079937617,
            "lng" : -80.66997720122338
         },
         "resolution" : 9.543951988220215
      }
   ],
   "status" : "OK"
}

5.2.4 ニューオーリンズ(ルイジアナ州)

ジャズ発祥の地として有名なニューオーリンズは、非常に低い標高が続く堆積平野です。
場所によっては海抜マイナスの地点もあります。

2d-map (1)

図12 ニューオーリンズ(ルイジアナ州)(U.S. Geological Survey (USGS), USDA. The National Map: Orthoimagery (June 2024). Powered by Esri.)

 

過去には2005年にハリケーン・カトリーナによる大規模な浸水被害が発生しています。

USGS Viewerの標高は0.0m、Elevation APIの結果も0mでした。

{
   "results" : 
   [
      {
         "elevation" : 1.175494350822288e-38,
         "location" : 
         {
            "lat" : 29.99151315069069,
            "lng" : -90.0961556139662
         },
         "resolution" : 4.771975994110107
      }
   ],
   "status" : "OK"
}

5.2.5 平坦地での標高検証のまとめ

平坦地の標高の検証結果を以下にまとめます。
こうしてみると、山頂に比べ、正解との差が小さいことが分かります。

 

検証地点 緯度 経度 正解となる標高 (m) Elevation APIによる標高 (m) 両者の差 (m) 備考
ラパス(ボリビア) -16.51038 -68.18823 4039 4039.41 0.41 非常に平坦な高原。USGS Viewerとの誤差は極少
ボンネビル・ソルトフラッツ(ユタ州) 40.7997 -113.8 1285.3 1285.52 0.22 世界屈指の平坦地。分解能9.54mで理想的な精度
エバーグレーズ国立公園(フロリダ州) 25.47991 -80.66998 0.4 2.11 1.71 湿地帯。地表の樹木や植物を含めた高さを測定しているため、実際の地面より高めに出る傾向あり
ニューオーリンズ(ルイジアナ州) 29.99151 -90.09616 0.0 0.0 0.00 都市部の開けた公園。分解能4.77mと最高クラスの精度

 

5.3 Elevation APIの標高に誤差が生じる原因

Elevation APIの標高が測量で得られた標高と異なる原因について、以下の要因があるそうです。

 

1. 参照するジオイドモデルの違い
2. Elevation APIが参照するデータの水平解像度の違い
3. 測定手法の違い

5.3.1 参照するジオイドモデルの違い

ジオイドとは地球の重力分布をもとに作られた仮想的な海面です。
この海面が標高0mに相当します。
国土地理院が参照するジオイドモデルは日本周辺に限定したもので、日本のジオイドモデルが使用されています。
一方、Elevation API(Google Earth / Google Maps)では世界全体をカバーするEGM96 ジオイドモデルを使用しているそうです[9]。
この両者の参照するジオイドモデルの違いが標高の違いとして現れるようです。

5.3.2 Elevation APIが参照するデータの水平解像度の違い

Elevation API (Google Earth / Google Maps)では、全世界を対象として標高データを推定する上で、複数のデータを使用していると言われています。

 

1. スペースシャトルからのレーダによる標高計測(SRTM: Shuttle Radar Topography Mission)データ
2. 航空機等で計測したLiDARデータ

 

この内、SRTMは30x30m~90x90mのメッシュで測定を行っています。
このため、山頂のような場所では、最も高い「点」だけでなく、その周囲の少し低い斜面も含めて平均化されてしまうため、データ上の山頂は実際よりも低く表示される傾向があるそうです。

5.3.3 測定手法の違い

国土地理院では基準点、水準点については電子基準点の計測した値を元に標高を求めるのに対し、SRTMではスペースシャトルから放射されたレーダーが地表にぶつかって戻るまでの時間を元にそれぞれの地点の標高を求めています。
SRTMの垂直方向の絶対誤差は16m以内とのことですが、電子基準点の誤差は垂直方向(高さ):約10〜20mm (1〜2cm)とのことで、両者の間には3-4桁の差があります。
このページでは、Elevation APIの結果を土木測量の目的でそのまま利用することへの注意が呼びかけられています。

5.4 Google Earth /Google Mapsの標高の精度についての報告

Google ScholarでGoogle Earth / Google Mapsで得られる標高の精度について調べてみると、以下の論文が見つかりました。
結果をまとめると、以下のようになります。

 

論文タイトル (著者 / 年) 対象地域 垂直誤差 (RMSE等) 備考
Measuring the Accuracy of Coordinates and Elevation of Google Earth (Supriyanto, B. F. et al, 2021) インドネシア (ジャカルタ) 4.6m 都市部の平坦な場所での検証。水平・垂直ともに約2m強の誤差があり、精密測量には不十分。
Vertical Accuracy of Google Earth Data (Khalid L. A. El-Ashmawy, 2024) エジプト(北海岸の3地域:ダバ、エル・アラメイン、マルサ・マトルーフ) 1.83m 〜 5.72m 高低差(起伏)が増すほど精度が低下する。SRTMデータの改良は垂直精度の向上に寄与しておらず 、2015年と2023年のデータ間で精度に有意な差はない 。低コストな予備調査や小規模な高低差(5m以下)の都市計画には有用だが、精密なエンジニアリング設計には不十分 。
Analysis of Accuracy of Differential Global Positioning System (DGPS) and Google Earth Digital Terrain Model (DTM) Data using Geographic Information System Techniques (Richard J. U. & Chima Ogba, 2016) ナイジェリア (エッチェ) 平均誤差: +7.362m 実測より高く出る傾向(プラスのバイアス)。急斜面を平滑化し、実際より平坦に見せてしまう。
Google Earth elevation data extraction and accuracy assessment for transportation applications (Wang et al., 2017) 米国 (6州の道路網) 2.27m 米国内の道路インフラでは高精度。公的データ(USGS)の統合状況が精度を決定づける。
Positional Accuracy Testing of Google Earth (Mohammed, N. Z., et al., 2013) ハルツーム (スーダン) RMSE: 約 2.57m 都市部では建物の高さ(DSM)を拾いやすい。精密なエンジニアリングには不十分。

 

こうして見ると、世界各地で平均2m程度の誤差があり、土木測量には適していないと言えます。

6. まとめ

この記事ではElevation APIの使い方と利用例、Elevation APIで得られる標高データの品質について述べました。
Elevation APIは世界中どこでも手軽に標高を取得できる便利なサービスである一方で、場所によって標高の精度が異なる(山頂では数10m、平坦地では数mの誤差)ことが分かりました。
このため、Elevation APIを利用する際は、標高データの利用目的に応じて十分注意する必要があります。
特に、建築や土木、人命に関わる防災計画など、数cm〜1m以内での精度が求められる場面ではElevation APIの結果を利用せず、調査地が国内の場合は国土地理院のデータを確認し、必要に応じて現地の測量調査を行う必要があるようです。

付録: 標高データに関するサイト

標高データを確認できるサイトには以下のものがあります。

 

1. 国土地理院地図:国土地理院の地図です。地図上の地点の標高を確認できるほか(例:富士山剣ヶ峰付近の等高線)、指定した地点を結ぶ線上の標高を確認できます。
2. The National Map Viewer:米国地質調査所(USGS)の提供する地図アプリ。2つの地点を指定して標高を調べることができます。
3. 米国地質調査所(USGS): The National Map – Elevation Point Query Service:米国内の任意の地点について標高を調べることのできるAPIです。
4. スイス連邦地形局:スイス国内の測量結果を見ることのできる地図アプリです。下のような3Dマップも見ることができます。
5. OpenTopography: 世界各地の標高を調べることができます(例:富士山剣ヶ峰の標高)。Web APIもあるようです。

 

pasted-2026.04.14-20.08.15

図13 ツェルマットの町から見上げたマッターホルン(出典:スイス連邦地形局 (swisstopo))

 

今回はこの辺で・・・

 

バイ!

 

参考資料

[1] WINGFIELD since1995. “GIS で使用される高さの種類”, (参照 2026-04-17).

[2] “測量法(昭和二十四年六月三日法律第百八十八号)”, (参照 2026-04-17).

[3] 国土地理院. “ジオイドとは”, (参照 2026-04-17).

[4] Google. Object height data: Where does google earth get that information, (参照 2026-04-15).

[5] Wikipedia. Google Earth, (参照 2026-04-15).

[6] Google. Elevation API overview, (参照 2026-04-15).

[7] 岩貞るみこ. 未来の車ができるまで. 講談社, 2016年.

[8] 国土地理院. “剱岳測量100年記念事業”, (参照 2026-04-14).

[9] Google. Google Earth Pro Vertical Reference, (参照 2026-04-16).

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